【原神】理想ステータスとステータスの過不足について

原神の理想ステータスとは何なのかいま一度考えてみましょう.
最近、理想ステータスは○○だから~だと不足しているという主張をみかけるようになりました.
一見すると自然かのようにおもえるこの発言ですか、僕からすれば違和感しかありません.

これについては以降順を追って解説をしていきますが、
簡単にいえば理想ステータスからステータス交換をした点における期待値は理想値の極大値と比が1に近い(数%程度)にもかかわらず、
理想値より低いステータスを不足だと主張するには無理があるとおもわれます.
理想ステータス比率と異なるからといって特定のステータスが過剰であるないし不足しているとは言えるわけではないです.
これで理解できた人はこの記事を読む価値はあまりないかもしれません.

理想ステータス

理想ステータスとは何なのかということから理解しましょう.
原神にはステータス変数が攻撃力、会心率、会心ダメージがあり、時にはダメージバフも変数になり得ます.
これらを変数としてダメージ期待値が定まります.要は多変数関数論を使うことになります.
期待値をEとおきます.fを多変数関数だとし、変数をステータスx^iとしましょう.
E=f(x^1,x^2,...,x^i,...,x^n)
各ステータスは基本的に一定の比率でお互いに交換することができます.その比率で重みをつけた合計であるスコアsに応じて極大値を考えます.
s=k_1x^1 + k_2 x^2 + ... + k_i x^i + ... + k_n x^n=k_i x^i
つまり、条件付き最大化問題です.
E_s:={\rm max}(f(x_1,...,x_n))
{\rm subject\ to\ }s=k_i x^i
このとき、
x^i =: x_s^i
あるスコアの場合は、このステータス配分が理想であるといえるわけです(一意であるとは限らない).



ステータス過剰・不足

では、ステータスの過剰や不足というのはどのように定義付けられるでしょうか.
話を簡単にするために、2変数関数だとし、x^1=xx^2=yとおき、理想ステータスは一意であると仮定します.


よくみる誤った主張が、

スコアsE < E_sのとき、
x > x_s\iffxは過剰である
x < x_s\iffxは不足である

といった主張です.しかしこんなのはほとんどの場合当てはまってしまいます.
完璧な理想ステータス比率を用意できなければいちいち過剰だの不足だのと言わなければならなく、
こんな主張をするのは短絡的でナンセンスです.

ではどうすればいいのかというと、次の主張

スコアsE < E_sで、
x > x_sかつE \ll E_s\iffxは過剰である
x < x_sかつE \ll E_s\iffxは不足である

という主張のほうがいいでしょう.期待値に大きな変化がなければ過剰や不足などと主張する必要などないということです.
どの程度期待値が変化すれば十分(有意)かというのは場合によるというか、どの程度求めるかによって変わってきます.
例えば5%以上と置いてもいいですし、10%と置いてもいいかもしれません.ご自身のプレイスタイルや厳選度合いなどからいくつかの仮定のもと典型的な数値を計算するということもできそうです.


理想ステータスからかけ離れていない場合、dx=x_s-xdy=y_s-yとおいて
dE=E_s-E=\frac{\partial f}{\partial x}(x,y)dx+\frac{\partial f}{\partial y}(x,y)dy \gg 0
とかけるので、偏微分係数の大きさをある程度の判断材料に用いることもできるので、

スコアsE < E_sで、
\frac{\partial f}{\partial x}(x,y) \ll 0 \iffxは過剰である
\frac{\partial f}{\partial x}(x,y) \gg 0 \iffxは不足である

と主張しても悪くはないでしょう(少々仮定がいるので汎用性は高くはありませんが).


まとめ

例えば前回の記事等で計算した理想ステータスでは、非会心系や会心率が突破ステータスの場合、低スコアのときに理想攻撃力は表示攻撃力=3*基礎攻撃力ほどにまでなりますが、
たとえ会心率にスコアを回したとしても実際の期待値は数%低下するに収まります.にもかかわらず、会心率に多少振ったステータスに対して、攻撃力が不足している!基礎攻撃力の3倍まで攻撃力を盛るべき!!だと主張するのはナンセンスだということです.


特に物理ダメージバフ関連でこのような勘違い主張をしているひとをよくみかけます.物理ダメージバフは盛りやすいので、理想ステータス比率を計算すると元素ダメージバフと比較してかなり高い水準になります.物理ダメージバフは盛りやすいから190%程まで盛れてしまうことがありますが、その場合に過剰であると勘違いする人が多くみられます(理想値を知らない).過剰になるのはその物理ダメージバフの値に攻撃力や会心が追い付いていない場合であって、実際には追い付いていないという状況のほうが珍しく、例え聖遺物セットや杯を変えても期待値の変化量というのは小さかったりします.
また、物理ダメージバフを100%~120%程度にまで落とし、攻撃力を稼いだステータスに対して物理ダメージバフが不足していると勘違いして主張するひともみられます(理想値を知っているがステータス過不足の判断ができない).


また雷電将軍も天賦や絶縁の旗印の相乗効果によってダメージバフを稼ぎやすく、理想ダメージバフの値が高い水準になりやすいです.そのため、一見かなり高いダメージバフで過剰だと勘違いしたり(理想値を知らない)、理想値が高いからといって攻撃力に振ったステータスに対してダメージバフ不足だと勘違いしたり(理想値を知っているがステータス過不足の判断ができない)する人がいます.


理想を求めるのはいいですが、ステータス過不足の勘違いのもと、
聖遺物や武器の乗り換えをしても、思ったより伸び悩み、コストに見合わなかった、
場合によってはむしろダメージ期待値が落ちてしまったなんてことになります.