原神の非固定値ダメージはキャラクター側では天賦倍率×参照ステータス×会心補正×ダメージバフ,これに敵側の元素/物理耐性補正×防御補正を乗じて定まります.
殆どのキャラは参照ステータスが攻撃力です.今回は,聖遺物や武器などの変動するステータスによってダメージの期待値を最適化してみます.
本記事をもとにさらに発展した内容の記事がこれらです.ぜひご参考ください.
ダメバフ変動編
fumofumobun-study.hatenablog.com
ダメバフ固定編
fumofumobun-study.hatenablog.com
CASIO keisan実装編
fumofumobun-study.hatenablog.com
変数
変動するステータスは,武器による基礎攻撃力,武器に付くステータス,聖遺物のオプションだとします.
しかし,基礎攻撃力は変数といっても連続的に変化させることもできないので,各計算ごとに初期値として与えるものとします(結局定数のようなもの).
基礎攻撃力,合計攻撃力%,会心率,会心ダメージ,合計ダメージバフ
これらを変数とします.原神では聖遺物や武器を見るとわかるように,それぞれステータスに重み付けがされています.
聖遺物のメインステータスを参考にすると会心率に対して,攻撃力,会心ダメージ,ダメージバフです.
つまり,上昇させることのできるステータスは常にこの重み付けをされているということになるので,
constという制約がつくことになります.このを重み付きの合計スコアと言うことにします.
ラグランジュの未定乗数法
ダメージ期待値は最終攻撃力×会心補正×ダメバフに比例します.最終攻撃力をとおきます.攻撃力%は基礎攻撃力にかかり,は聖遺物の羽の固定メインオプションの値です.聖遺物の攻撃力固定値は無視します.
会心補正は会心発生時(確率)にダメージが倍になり,非会心時(確率)には等倍なので,となります.したがって,
を最大化すればよいということになります.制約条件から,ラグランジアン(と名前がついているのかは怪しい)は
となります.
ベネット補正・万葉補正
Lv90で天賦Lv13,天空の刃もちの旧貴族ベネットの攻撃力バフ:を用いる場合も考えます.ベネットの補正をするには,
の置き換えをします.
熟知1000の万葉による元素ダメージバフ:を用いて補正する場合,最大化させる対象を
に置き換えます.これらの補正を用いたい場合は各自置き換えて計算を進めてください.龍殺しや九条,ゴローの会心ダメバフ,モナのダメバフなども同様です.
極値の計算
です.ラグランジアンを偏微分していき,
・・・①
・・・②
・・・③
・・・④
・・・⑤
線形だったら行列でも書き出したかもしれないですが会心補正が非線形ですね.①=④より,
を得ます.
②=2×③より,
を得ます.これは,会心率と会心ダメージの比率が1:2であることが好ましいというもので有名なものかと思います.
ここからを一つの変数で表すようにまとめ上げたいので,との関係式を求めます.
①と②はに比例しているのでここから求めることができ,3×①=2×②より
となります.これらを⑤式に代入すると,
となります.経験的に,会心率のステータスに落ち着くことが多いですが,
最適化された状態で会心率がであるとき,程度になります.これが経験的なの目安ですね.
いま求めたいのは,が与えられたときにをどのように最適化するべきかということなので,この2次方程式を解くことにより,
とおいて,
と求まります.ベネット補正の場合は,として計算します.またベネット補正の場合はです.
を概算して与えることによって,最適な会心率が求まります.会心ダメージは常にその2倍が最適で,
攻撃力%はまでは盛ることが最適ということになります.
また,ダメージバフの目安がとなります.ダメージバフは聖遺物のサブOPでは盛ることができないことが多いので,もしダメージバフが求めた値より
足りていない場合は武器を武器効果でダメージバフが盛れるものに変えるか,聖遺物のセット効果を見直すか,元素アタッカーの場合は万葉を採用したほうがいいということになります.
具体例:絶縁祭礼行秋の場合
上で求めた計算の運用方法として具体例を挙げておきます.
祭礼の剣を装備した絶縁行秋を想定します.基礎攻撃力は程度になります.
ここからを概算していきます.経験則では程度であったので,概算して程度になっていれば大きく間違った計算をしてはいないということになります.
攻撃力%は聖遺物時計のメインOPであると突破ステータスのあります.
会心系は初期で会心率,会心ダメージ,冠のメインOP(会心率換算とします)あります.会心系の武器を持たせた場合はここに足します.
ダメージバフは杯のと固有天賦のに加えて,絶縁の旗印のセット効果で典型的には(チャージ効率)ほどあるとします.
聖遺物のサブOPの重み付き合計スコアをとします.
この聖遺物のスコアというのは例えば全部位に全部会心率のみがついてサブOPの合計での会心率が盛れているとしたものです:.
かなりいい聖遺物を揃えられた厳選ラインだとくらいになります.全部位が神聖遺物だと程です.
正確に重み付けをしているので,厳密にはここで用いてるスコアとは一致しないですが,よく用いられる簡易なスコア:攻撃力[%]+2×会心率[%]+会心ダメージ[%]の全部位の合計に対して,3倍して100で割ればだいたいここでいうスコアの目安になります(つまりスコア7.5というのは各部位でよく用いられるスコアがあるということです).
そして,この場合の重み付き合計スコアの概算は,
先ほどの目安に近いですね.この値が割り振るステータスの総量ということになって,ここからどのような比率で割り振るのが最適なのかということがわかっていきます.
まず,2次方程式を解いた結果を使って会心率から求めていきます.となるので,
となります.2つ解が出てきますが会心率が高いほうを採用していきます.
会心率の場合,
会心ダメージはいつもその2倍であるが最適です.攻撃力%は
が最適となります.
ピンとこないので最終攻撃力を求めると,
なんだか小さすぎる気がしますが,実際に小さいです.攻撃力はメインOPと突破ステータスで稼げていて,最小値がです.
なので,というのはあり得ないのです.行秋に基礎攻撃力の低い祭礼の剣を持たせる場合は,攻撃力%の恩恵が薄く,できるだけ会心の方を盛った方がよいということですね.
なので最適化とはなりませんがこの最小ステータスは武器で攻撃%を盛っているわけでもなく,変えられないので,攻撃力%と固定します.
というかこの結果になった時点で,基礎攻撃力が足りていないということがわかるので,武器を変更するべきという結論にはなるのですが,行秋に祭礼の剣は武器効果がベストマッチなのでさすがに変えられないですね.
会心率というのは最小値の攻撃力を限界突破してさらに攻撃力を下げて会心に補填したときに達成されるので,実際には達成することができません.
このような例外になった場合,攻撃力を変数としないモデルとして計算をやり直さなければならないのですが,面倒であるので目安の値を求めます(せっかく計算したのに例外で意味ないじゃん!となりますが・・・).
攻撃力を一切盛らないで会心に盛ったとすればよいので,聖遺物の重み付き合計スコアを1:2で割り振って,,が最適解となります.
この時点でのうち分を会心系に消費したということになります.攻撃にステータスを割り振るべきではないという結論であったので,残りの分のうち,最小の攻撃を除いた分をダメージバフに振るのがよいということになり,ダメージバフの目安は
が最適となります.杯と固有天賦の分を差し引けば分を絶縁の旗印4セット効果で補えばよく,チャージ効率がまで盛れていればよいということになります.この程度のチャージ効率ならサブOPにほんのりつくだけで達成できます(絶縁の旗印セット効果の上限を超えていたり,明らかに無理なダメバフが要求されていた場合,その分を仕方なしに攻撃力に回すことになります).
まとめると,攻撃力 会心率 会心ダメージ チャージ効率が最適解の1つになります.
期待値を計算してみると,
ここへ天賦倍率と元素耐性,防御補正が乗ざれます.剣雨は天賦Lv13で,2凸効果で元素耐性がになっていて防御補正がであるとすると,
(会心時が,非会心時が)
が剣雨1本の期待値ですね.
なんだか例外続きで前の見出しまでで計算した最適化の手法の殆どを使わずに計算をすることになってしまいましたね.(例外を扱うためにこの例を出したんですが(;^_^)